ほとんどの家庭に仏壇!?どういう理由で祀られてる!?

〇寺院に由来する祭壇である仏壇 仏壇とは、我々が日常的に見ることがある、仏教の本尊や位牌を安置するための特殊な家具のことを指します。その形状は一般的に厨子(ずし)や宮型のものがあり、その起源は寺院の本堂にある須弥壇にさかのぼります。須弥壇とは仏教の宇宙観を象徴した祭壇で、その場所は本尊を安置するための場所として使用されています。

日本において、家庭で仏壇が一般的に使用され始めたのは約1300年前、白鳳4年のことで、その背景には天武天皇による全国の家庭への仏教の本尊や経巻を安置するようにとの命令が存在しています。その後、江戸時代中期にはキリシタン禁制や民衆の統制を目的とした寺請制度の下で、各家庭に仏壇が設けられるようになりました。

須弥壇の考え方は、古代インドの宇宙観に由来します。インドの宇宙観では、宇宙の中心には巨大な山である「須弥山」が存在し、その山の頂には帝釈天が住み、その中腹には四天王がいて、その麓には人間が住んでいるとされていました。須弥壇はこの須弥山を模して作られており、人間の世界を超越した神聖な場所とされています。

〇家庭での信仰を具現化する仏壇 家庭にある仏壇には、その家庭が信仰する宗派の本尊が安置されます。言い換えれば、それは我々が自宅に小さな寺院を設けているとも言えます。

〇先祖を祀る場所である仏壇 さらに、仏壇は家庭の先祖を祀る場所でもあります。これは、日本の民俗信仰に深く根ざした「先祖供養」の思想を反映しています。仏壇と位牌は、先祖の霊が現世に何らかの影響を与え、または祟りとして現れることを恐れ、その鎮魂のために供養するという慣習が背景にあり、現在の形になりました。

ただし、真宗系の教えでは、この「先祖を祀る壇」という概念は存在しないことに注意しなければなりません。真宗では本尊が中心であり、先祖を祀るための具体的な場所という意味では「仏壇」を使わないことがあります。特に真宗大谷派では、「仏壇」という語よりも「お内仏」という語を用いることが一般的です。

〇家庭の中で仏壇を祀る場所 家庭では一般的に仏間や居間に仏壇を祀ります。しかし、現代の住宅事情を考えると、「絶対にここに祀らなければならない」という決まりは存在しません。直射日光が当たらない場所で風通しが良ければ、基本的には問題ありません。ただし、仏壇を祀る方角には注意が必要です。

南向き:仏壇を南に向けて安置すると、北を背にします。直射日光が当たらず、風が南から入ってくるため、仏壇の保存状態にも最適な条件と言えます。

東向き:西方浄土に向かって拝む思想から、仏壇を東に向けて、西を背にして安置する方法も推奨されています。特に真宗大谷派ではこの方法が推奨されています。

本山中心:仏壇に向かって手を合わせると、その延長線上に自宅の宗派の本山が来るように安置する方法もあります。

北向き:南を背にして仏壇を北に向けて安置するのは避けるべきとされています。

仏壇の高さにも注意が必要です。目線の高さに位牌があり、それより少し高い位置に本尊があるのが理想的です。少なくとも、見下げるような位置には安置しないようにしましょう。

〇仏壇の開眼供養
新しく仏壇を購入した場合、お祀りする仏像、仏画、位牌など、仏や祖先を念じて手を合わせる対象すべてに、仏の心を宿すための開眼供養を行います。宗派によっては、「み魂入れ」や「お性根入れ」とも呼ばれます。開眼供養は故人の法要に合わせて行われることが多いです。真宗大谷派では「ご移徙 (ごいし) 法要」、「おわたまし」と呼ばれます。

〇仏壇の閉眼戻しもしくは閉眼供養
古くなったり、傷んだりした仏壇を新しいものに買い替える際、古い仏壇は仏壇屋に引き取ってもらいます。また、新しく仏像や位牌を作る際には、開眼を一旦解かなければなりません。これを「開眼戻し」、「み魂抜き」と言います。開眼供養同様に、この作業は寺院にお願いして行ってもらいます。同時に仏像や位牌そのものはお焚き上げしてもらいます。

日本の仏壇は一般的には、屋根が千鳥破風 (ちどりはふ)、軒が唐破風 (からはふ) の八宗用と呼ばれる形が多いです。八宗用とは、天台宗、真言宗、浄土宗、浄土真宗本願寺派、真宗大谷派、臨済宗、曹洞宗、日蓮宗の8つの宗派が共通に使用する仏壇の形状のことを指します。塗り仏壇や唐木仏壇があり、これが最も多く使われています。

「破風 (はふ)」とは何かというと、これは日本の建築における、屋根の切妻 (きりづま) に付いている合掌型の装飾屋根のことを指します。白木祭壇にも見られます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました