現役火葬場職員の火葬ディレクターです。
今回はお柩へ収めることになる副葬品についてのお話になります。
火葬ディレクターである現役火葬場職員から重要なお願いです
ご遺骨が見つからない
今回記事にした多量の紙の副葬品は1日のうち1件程度は見受けられます。副葬品を色々収めたくなる気持ちはとても理解できます。
一緒に持っていって欲しいですものね。
しかし多量の紙は完全の灰状態にならずにそのままの形が残ります。大切なご遺骨が紙に埋もれてしまい見つからなくなってしまいます。
多量の粉塵が舞います
火葬終了後、スケジュールによっては、そのあとに次の方が使用しますので、火葬ベット台車をバキュームや特殊道具などで清掃します。その際に粉塵が大量に発生し、火葬場職員の健康に影響を与えてしまいます。
火葬場内に開放式のお別れホールが設置されている場所で、距離が火葬炉が近い場合は換気をした場合でも粉塵が天井高く舞ってしまい、床から壁面や焼香台などが真っ白になってしまいます。時間が大きく取れないため簡易的に清掃をしますが、次のご葬家を不快な気持ちにさせてしまい可能性があります。
最後にご遺骨の一部が見つからないことは火葬場としては由々しい事柄です。
火葬場職員としては今後同じ事態が起きないように、葬祭業者さんへ口頭や書面にて注意することもあります。
爆発物で怪我します
具体的には缶飲料やスプレー、ガス缶、ライター。乾電池や最近は特にスマホを充電するリチウム電池などにあたります。
近年のごみ収集車が炎上するというニュースを何回か見たことはありませんか?
実はこれに近いことが火葬炉でも起きております。
幸いにも火葬炉は1400℃前後までの耐久性能があります。それでも爆破の威力は強力ですので、火葬中に炉内で爆発を起こして炉壁がダメージを受けます。確認・点検口がある火葬炉ではそこから爆発物がいきなり飛散し、火葬場職員にあたり怪我をしまうこともあります。
溶けてしまい火葬炉台車へ付着してしまいます
具体的にはガラス製品や眼鏡、おはじき、ビン、鏡、食器などです。
火葬中に材質が溶解し、火葬炉台車に強固にこびりついてしまいます。
溶解した材質は簡単には取れませんので、ハンマーやトンカチやドライバーを使いながら火葬終了後の熱くなっている火葬炉台車を削っていき現状に戻るように復帰をさせます。
もしこの溶解物がご遺骨に付着物が付いた時は、変色や変形、損壊を起します。
火葬できずにそのまま出てきます
具体的にはスマートフォンや携帯電話、CD・MDプレイヤー、大きな仏像やお人形、カーボン製品の杖、釣竿、ゴルフクラブ、テニスなどラケットなどです。
火葬が終了しても灰にならずに、そのままの形で現れます。
これらがご遺体の近く置くと、上記の同様にご遺骨が変色、変形、損壊しやすくなります。
一酸化炭素、ダイオキシンを発生させて火葬場職員、近隣住民の健康に影響を与えます
具体的にはハンドバックや靴、玩具などビニール製品
衣類や寝具、敷物など化学合成繊維製品
枕や緩衝材、パッキングなど発泡スチロール製品
革靴やグローブCD、野球、ゴルフボールなどプラスチック製品
環境汚染防止の法律制定
火葬炉におけるダイオキシンの排出は、環境汚染や健康被害のリスクがあるため、法律によって厳しく規制されています。
日本においては、平成8年に施行された「ダイオキシン等の環境中の汚染の防止及び健康への影響の調査等に関する法律」が火葬炉に関する規制の法的枠組みとなっています。この法律に基づき、火葬炉の建設・運営に対しては、ダイオキシンの排出量に関する厳格な規制が課せられています。
具体的には、火葬炉において排出されるダイオキシンの規制値が定められ、それを超えた場合には罰則が設けられています。また、火葬炉の運営者は、定期的にダイオキシンの排出量を測定し、管理することが求められています。
このように、火葬炉におけるダイオキシンの排出は法律によって厳しく規制されており、環境保護や健康保護に対する重要性が認識されています。
果物や野菜は不完全燃焼となり生焼けのまま出てきます。
具体的にはスイカやメロン、りんご、梨など中大程度の果物です。
一番多いパターンとしては通夜・葬儀告別式で祭壇の器に盛って神仏に供える食物「御盛物」をお花入れの時に一緒いれる場合は多いです。
火葬炉で温度異常警報が鳴り、ご遺骨が痛みます。多量の紙を燃焼させるため火葬時間の延長、燃料が浪費されます
具体的には書籍、辞書、アルバム、辞典など厚みのある書籍類、多量の紙を使用したもの
焼失に伴うトラブルの原因となるもの
指輪やネックレスやブレスレットなどの貴⾦属
記念硬貨やゲームセンターなどのメダル
10円や100円などの硬貨や六文銭、長寿銭
重ねてのお願い
心臓ペースメーカー、人工弁や股関節置換手術のボルトや体内に入っている場合は事前に火葬場へお申し出をお願い致します。火葬場によりますが、火葬終了後、形が残っていた場合はご葬家へお持ちします。
長くなりましたが、副葬品を納める際はご遺骨にも、故人さまの尊前にも、環境にも、火葬場職員の健康のためにも、円滑で厳粛な火葬場運営を行うためにも、ご理解ご配慮ご協力をお願いします。
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